別居状態で配偶者ビザは下りるのか
先に結論から申し上げると「理由次第では下りる」ということです。よくある相談で「別居しているけど配偶者ビザの更新は出来ますか?」というものですが、即答で下りませんと言うことはありません。
日本では民法752条に「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められています。更に入管では別居していると偽装結婚ではないかと疑いますので、そういった意味でも同居していたほうが真実の結婚だなと信憑性が増すのです。
しかし、冒頭でも述べているように別居している=婚姻関係が破綻している・偽装結婚であるということにはなりません。要するに合理的な理由を証明できればいいのです。
配偶者ビザが不許可になり取消訴訟まで発展した事件で、京都地裁(H27,11,6)が「我が国においても、婚姻概念が多様化している今日、「同居」のみを特別扱いするのは相当ではなく、同居の有無も、婚姻関係に実体があるか否かを判断する一要素にすぎないと考えられる」とし、入管の判断が退けられました。
この判断となった要素は以下の通りです。
- 結婚に至る経緯が真摯
- 夫婦のラインのやり取りが真摯
- 不妊治療をしている
- 不許可処分後に同居を始めた
別居の合理的な理由とは
一言別居と言っても様々な要因があり、合理的な理由があるのかないのか、又それを証明できるのかできないのかが重要になってきます。合理的な理由があったとしてもそれを証明できなければ絵に書いた餅です。
夫や妻の転勤
夫婦円満で別居する理由はもっとも転勤が多いのではないでしょうか?県外などに転勤命令が出たが、子どもの学校の関係上どうしてもついていけないなどは合理的な理由があるといえるでしょう。扶助していることの証明として送金記録などをとっておくようにしましょう。
親の介護でつきっきり
夫や妻の転勤に似ていますが、県外にてつきっきりで介護をしないといけない場合は別居になる可能性もあります。そのような場合も合理的な理由があると認められるでしょう。
配偶者が刑務所に入った
同居をしようがありませんので仕方ありません。
喧嘩をして別居中
他と違うのは喧嘩をして別居するのであれば離婚に向かった別居なのか、離婚に向かった別居だったけど仲直りに向かっている状況かで分かれるとこでしょう。理由書に事細かく婚姻関係が続いており、生活費を出してもらっているなどアピールしましょう。
別居時の申請ポイント
上記例に出していますが、別居時の申請ポイントを紹介します。
- 別居の経緯
- 別居期間
- 別居中にどう会っているか
- 家族仲
- 生活費の支給有無
担当官におって判断がまちまちでしょうが、何度も言うように合理的な理由を具体的かつ証明しながら説明する必要があります。例えば、別居の経緯が転勤で、月に数回帰ってきて、家族仲は良好で(旅行に行った写真や誕生日を祝っているなど)、生活費は毎月振り込んでいるなどあれば婚姻関係が破綻しているとは見えません。
しかし、不倫が原因で別居をし、家族とは会っておらず、生活費も振り込んでいないとなるとはたして第三者からみて婚姻関係が良好と言えるでしょうか?当たり前ですが、配偶者ビザの許可を得るためには、これから婚姻関係が続いていくということが大前提となります。夫婦関係が改善しないのであれば、当然に配偶者ビザが下りるわけがありません。
住民票が一緒なら大丈夫なのか
何らかが原因で別居している場合でも住民票を移動させない方もいます。しかし、住民票の移動は法律で定められており法令違反になりますのでマイナス評価となります。また、住民票が同じ=同居している訳ではありませんので意味がありません。
あくまで、居所が重要で同居している真実が必要です。また、住民票が一緒だからといって「同居している風」では、虚偽申請になりますので許可は下りません。
まとめ
今回は別居時の配偶者ビザ申請について書いてみました。とにかく「別居の合理的な理由」を説明する必要があります。通常の申請より許可をとるのは難しいのは言うまでもありません。もし、不安であれば専門家に依頼するのがベストでしょう。