難民とは

そもそも難民ってなに?というところから始まると思います。難民とは、国籍や人種、宗教、特定の社会的集団への所属、または政治的意見により迫害を受ける恐れがあるという十分な理由があり、そのために自国(無国籍の場合は常居所国)にいられず、またその国の保護を受けることができないか、恐れがあるために保護を受けたくない人のことを指します。難民は、難民条約や議定書に基づいて定義されており、これらの文書に従って難民の地位が認められます。また、難民条約以前の国際文書で難民とされていた人も難民とみなされます。

つまり、難民条約と協定書を理解しておく必要があるということです。

下記を読めば難民認定申請の難しさがわかると思うので弊所のような専門家に頼みましょう。また、弊所の費用は一番最下部に書いていますので料金見合えばご相談下さい。

難民条約の構造

難民条約1条は難民の定義と関連規定を示し、AからFまでの6項があります。1条Aは難民の要件を規定し、1条A(2)は時間的制限があったが、議定書1条により除外されました。1条Bは地理的制限の選択を規定し、日本は制限なしを宣言しました。1条Cは難民の地位が終了する場合を示し、1条D~Fは要件を満たすものでも適用が認められない場合を規定しています。

簡単にまとめると、難民は特定の要件に基づいて定義され、日本は地理的制限を付さず、難民と認められる場合と認められない場合が規定されています。難民の地位は特定の状況下で終了することがあります。

難民認定される為の要件

  1. 申請者が受ける可能性のある特定の行為や取り扱いが「迫害」であること。【①迫害 ②迫害主体】
  2. 申請者が「十分に理由のある恐怖」を抱いて迫害を受けるおそれがあること。
    【③迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖】
  3. 迫害が「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団への所属、または政治的意見」を理由として行われること。
    【④迫害理由、⑤因果関係】
  4. 申請者が自国や常居所国(国籍国等)の外にいること。
    【⑥国籍国等の外にいること】
  5. 申請者が国籍国等の保護を受けられないか、恐怖のために保護を受けたくないこと。
    【⑦国籍国の保護】

これらの要件を満たすかどうかによって、難民認定が判断されます。それぞれの要件を具体的に見てきましょう。

①迫害

  • 迫害は、国際法上の明確な定義はないが、生命、身体、自由の侵害や抑圧、および人権の重大な侵害を意味する。
  • 典型的な迫害の例は、殺害や不当な拘禁など。
  • 生活手段の剥奪や精神的暴力も迫害に該当する可能性がある。
  • それぞれの措置が個別には迫害に当たらなくても、複数の事情が合わさることで迫害が構成されることがある。
  • 法的手続きに従った訴追や処罰は通常迫害には当たらないが、恣意的・差別的な訴追や処罰、または不当に重い処罰は迫害に該当する可能性がある。

【審査時の留意点】

  • 迫害に当たるかどうかを判断する際には、申請者の置かれた状況や社会的脆弱性も考慮する。
  • 徴兵・軍務に関連する迫害:国家による徴兵や軍務自体は迫害には該当しないが、過酷な軍務や恣意的・差別的な訴追や処罰、または不当に重い処罰は迫害に該当する可能性がある。
  • 非国家武装集団による徴兵も、徴兵の方法や軍務の内容、拒否時の取り扱いによっては迫害に該当する可能性がある。

②迫害主体

迫害の主体は、通常、国家機関を指すもの。非国家主体 (政党関係者、反政府団体、宗教的共同体、民族的集団、犯罪組織、特定の地域を実効的に支配している集団、地域住民、家族の構成員又は個人等)であったとしても、迫害の主体となる可能性はある。非国家主体が迫害主体であると主張する申請の場合に考慮が必要となる国籍国の保護については、「⑦国籍国の保護」の記事を参考にしてください。

③迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖

「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」という概念は、難民認定の要件の一つであり、申請者が主観的な恐怖を持っているだけでなく、客観的な事情に基づいてその恐怖が十分に理由のあるものであることが求められます。具体的には、迫害を受ける現実的な危険が存在し、個々の申請者に関する具体的な事情が考慮されます。

迫害を回避するために取り得る合理的な手段がある場合、迫害を受けるおそれがあるとは認められませんが、その手段が申請者の生得的特性や信念、性的マイノリティ等の変更や強制結婚を伴う場合、合理的な手段とはみなされません。また、迫害主体が非国家主体である場合や、迫害が国内の一部の地域に限定されていて、安全かつ合法的に避難できる他の地域がある場合、迫害を受けるおそれがあるとは認められません。

審査時には、申請者の個別事情と国籍国等の一般的事情を総合的に評価し、申請者の属性、活動、経歴、脆弱性や地域コミュニティの状況などを考慮します。特定の属性を理由とした迫害がある場合(例: 民族浄化)、個々の申請者に関する具体的な事情の検討が必要ないこともあります。

具体的な判断の在り方

迫害を受ける現実的な危険があるかどうかは、個々の事案ごとに判断されます。例えば、迫害が生じ得る法令が存在し、適用されることで迫害が起こる抽象的な危険が認められる場合、具体的な適用状況や同様の立場にある者が実際に迫害を受けているかどうかなどを考慮し、申請者が迫害の現実的な危険にさらされているかどうかを検討します。実際に迫害を受けていることは要件ではないため、訴追や逮捕状の発付などは必ずしも必要ではありません。

申請者が迫害主体から個別的に認知されている場合、これは迫害を受けるおそれがあると判断する上で重要な要素ですが、認知されていないだけで迫害を受けるおそれがないと判断されるわけではありません。反政府活動に関連する迫害を評価する際は、申請者の地位、活動状況、過去の迫害事情などを考慮し、総合的に判断します。指導的な立場や影響力がある人物は迫害を受けるおそれが高いとされますが、そのような立場でなくても迫害を受けるおそれがある場合もあります。

家族が迫害を受けるおそれがある場合、申請者もその家族であることから政治的意見などを共有しているとみなされ、迫害を受けるおそれが生じることがあります。過去に迫害を受けた場合、その頻度や回数、性質は判断の重要な要素ですが、過去に迫害を受けていない、または1回しか迫害を受けていないからといって、迫害を受けるおそれがないと判断されるわけではありません。武力紛争が発生している地域に居住していた申請者については、紛争に巻き込まれるおそれがあることも考慮されます。

申請者が庇護を求めるまでの行動に対する評価

迫害を受けるおそれがあると判断されるかどうかは、申請者が庇護を求めるまでの行動にも影響を受けます。例えば、迫害があるにもかかわらず国籍国に長期間滞在していた場合や、自発的に帰国している事実、第三国を通過しながら庇護を求めずに通過した事実、また本邦に入国してから速やかに庇護を求めていない場合などは、一般的に消極的な事情とされます。ただし、これらの事実があるからといって、迫害のおそれが否定されるわけではなく、申請者の状況を総合的に判断します。

また、本邦で不法就労や送金の事実があっても、それ自体が迫害を受けるおそれと矛盾するわけではありません。しかし、入国目的が避難ではなく就労であることが推測される場合、これらの事実は消極的な事情となり得ます。

国家機関が迫害主体である場合、自己名義の旅券の発給や更新、正規の手続きで国籍国を出国した事実は、国家機関が申請者に特別な関心を持っていないことや、申請者が国家機関に対して恐怖を抱いていないことを示すため、消極的な事情となり得ます。しかし、これらの事実があるだけで迫害のおそれが否定されるわけではなく、一つの考慮要素にすぎません。例えば、捜査機関と出入国審査機関の連携が不十分な国や、賄賂などの不正手段を用いて正規に出国できる場合、政治的意見を隠して合法的な出国を選択する場合もあります。

・証拠等に対する評価

国籍国等に在住する申請者の家族や知人等が作成した、申請者が帰国すると危険である旨の内容等が記載された書面に対する評価に当たっては、家族や知人等は、申請者の供述内容に沿う供述をする動機があると考えられることに留意しつつ、当該書面における陳述内容の具体性や裏付け証拠の有無等を検討し、当該書面の記載内容の信用性を判断する必要がある。

簡単に言えば、証言+裏付けの証拠で強力になるということです。

・国内避難可能性に関する検討

迫害を受けるおそれがある場合、国内避難可能性の検討が重要です。迫害主体が国家機関である場合、通常、国内避難可能性の検討は不要ですが、特別な事情がある場合は考慮が必要です。

迫害主体が非国家主体で、国家機関によって迫害行為が助長・放置・黙認されている場合、国内避難可能性があるとしても迫害のおそれを否定できません。

国内避難可能性の判断には、避難先で迫害から逃れられるか、国家の保護が受けられるか、新たな迫害のおそれがないかを考慮する必要があります。また、避難先での状況が持続的でない場合や、申請者が客観的に合理的な理由で保護を望まない場合は、迫害のおそれを否定できません。

避難先への移動や定住が申請者に過酷な結果をもたらす場合、避難先は合理的な選択肢とは言えず、迫害のおそれを否定できません。ただし、生活水準の低下や経済状況の悪化だけでは、避難が合理的でないとは言えません。

国内避難先が合理的な選択肢であるかの判断には、申請者の民族、文化、宗教、家族関係、過去の居住歴、過去に受けた迫害やその精神的影響などの個人的事情を総合的に考慮する必要があります。

④迫害理由

迫害理由についてはいくつもの理由がありますので下記を参考下さい。

・人種

迫害理由としての「人種」は、身体的な特徴(皮膚の色、髪の形状など)を共有する集団に加え、通常「民族」として区分される文化、言語、宗教などの要素で特徴付けられる集団も含まれます。民族に基づく迫害は、「人種」と「国籍」など、難民条約上の複数の迫害理由に該当することがあります。審査時には、人種差別が顕著な人権侵害の一つであることを考慮し、特定の行為が「迫害」に当たるかどうかを判断する際に重要な要素として扱う必要があります。

・宗教

迫害理由としての「宗教」は、キリスト教、イスラム教、仏教などの宗教や宗派、無宗教、無神論を含み、組織化されたものや制度的な宗教活動に限られません。迫害の理由としては、宗教的共同体への所属、宗教的行為の実施、宗教指導・教育、宗教の放棄・改宗、あるいは特定の宗教を信仰しないことなどが考えられます。「宗教」は、「特定の社会的集団の構成員であること」など、他の迫害理由と重なる可能性があります。

審査時には、宗教的信念や生活様式が人格や自己同一性と関連していることを考慮し、信仰を変更・否定することや別の宗教を装って迫害を避けることができるとしても、迫害のおそれを否定してはならない。出国後に生じた事情(信仰の変化、宗教活動の内容や迫害の程度の変化など)も、帰国後の迫害のおそれを判断する際に考慮すべきです。改宗後の宗教を理由とする迫害のおそれについては、申請者の個別事情や迫害主体の対応を総合的に評価する必要があります。

・国籍

迫害理由としての「国籍」には、民族的集団や言語的集団も含まれ得る。 前記のとおり、「国籍」と「人種(民族)」は、重なり合いが生じ得る迫害理由である。また、民族的集団間や言語的集団間の紛争が政治的運動と結合していることもあり、「国籍」と「政治的意見」も、重なり合いが生じ得る。 「国籍」を理由とする迫害は、常居所を有する国において無国籍であることを理由に迫害を受けるような場合を含む。

・特定の社会的集団の構成員であること

特定の社会的集団として認識されるためには、集団の構成員が、生得的で不変的な特性、人格や自己同一性と密接に関連する特性、人間の尊厳に関わる特性、または変更不可能な過去の地位を共有しており、他の人々から区別されている必要があります。集団の結束や規模は関係ありません。

特定の社会的集団の構成員であることを理由とする迫害のおそれは、全員が現実的な危険にさらされている必要はなく、他の迫害理由(人種、宗教、国籍、政治的意見)と重なる可能性があります。

該当性が認められた例には、敵対する一族の構成員、反政府武装組織に対抗する者の家族、過激派組織の標的とされる有力者の子、脱走兵の家族、民主化運動支持者の子、女児教育支援活動者、人道支援団体メンバー、同性愛者、FGMや強制結婚に対する女性などが含まれますが、これに限定されません。

【性的マイノリティであることに関連する迫害】

性的マイノリティは、「特定の社会的集団の構成員」に該当する可能性があり、迫害理由となり得ます。審査時には以下の点に留意する必要があります。

  1. 性的マイノリティは外見や振る舞いに固定観念がなく、アイデンティティも必ずしも強固ではない。固定観念や臆測に基づいて判断すべきではありません。
  2. 性的マイノリティが事情を公然と明らかにすることに対して恥ずかしいと感じることがあるため、初期段階で事情を明らかにしなかったり、迫害の恐れを主張していなかったとしても、その信ぴょう性を否定すべきではありません。
  3. 性的マイノリティに対する法令が存在する場合でも、その具体的な適用状況や実際に処罰を受けているかどうかを検討する必要があります。
  4. 性的マイノリティの行動やアイデンティティは変更や放棄を強要されるべきではない。迫害の恐れがある場合、十分に理由のある恐怖を評価すべきです。
  5. 国内避難が合理的に期待できる場合、迫害の恐れがあるという十分に理由のある恐怖の判断に消極的な事情となり得ます。
  6. 性的マイノリティに関連する迫害は、「特定の社会的集団の構成員であること」以外の迫害理由(「宗教」や「政治的意見」)に基づく場合もあります。
  7. 非国家主体からの迫害がある場合、国籍国の保護が受けられないことを推認させる事情となり得ます。国の法令や保護措置が変わった場合でも、迫害を受けるおそれにどのような影響が生じるかは、個々の事情を考慮して判断する必要があります。

【ジェンダーによる差別的取り扱いに関連する迫害】

ジェンダーによる差別的取り扱いに関連する迫害について、伝統的・文化的な規範や慣行に基づき生命や身体の侵害、または重大な人権侵害(例:FGM)を受けるおそれがある集団に属する人は、特定の社会的集団の構成員として迫害を受けるおそれがあると認められます。審査時には、FGMが迫害に該当することや、ジェンダーによる差別的取扱いが迫害の契機となることがあることに留意が必要です。

また、国籍国等の地域によって伝統的・文化的な規範や慣行の実施状況が異なるため、国内避難の可能性を検討する際には、特定のジェンダーに関する特有の事情も考慮が必要です。ジェンダーに関連する迫害は、社会的・文化的規範に反することを理由としており、宗教や政治的意見としてみなされる場合もあります。

さらに、ジェンダーによる迫害を禁止する法令が存在しても、国籍国の当局が法執行の意思や能力を持っていない場合、国籍国の保護がないと認められます。このような観点から審査が行われるため、注意が必要です。

・政治的意見

政治的迫害とは、国籍国等の政権交代や政治体制変革を求める意見だけでなく、国家や政府、社会の体制に関連する意見も含みます。政治的意見は個人が持つものであり、政党や集団に所属する必要はありません。

迫害を受けるおそれがあるためには、申請者が政治的意見を持っていることが迫害主体に認知されているか、実際には持っていないが迫害主体によって持っているとみなされている必要があります。迫害主体の視点が重要で、政治的意見は必ずしも公に表明されている必要はありません。

政治的迫害は、他の迫害理由(人種、宗教、国籍、特定の社会的集団)と重なることがあります。審査時には、迫害主体が申請者を政治的意見を持っているとみなしているかを判断するため、申請者の供述や客観的証拠、出身国情報と照らし合わせて判断が必要です。

申請者が国籍国等を出国する前に、当局に自身の政治的意見が把握されていたことを示す必要はありません。国籍国等を離れた後に迫害主体が申請者の政治的意見を認知したり、持っているとみなす場合があります。また、国籍国等を出国した後に生じた事情も、帰国後に政治的迫害を受けるおそれがあるかどうかの判断に考慮されます。

⑤因果関係

因果関係とは、難民条約上の迫害理由(人種、宗教、国籍、特定の社会的集団、政治的意見)のうち1つ以上を理由として、迫害を受けるおそれがあることを示す関係です。迫害主体が非国家主体の場合でも、迫害理由の1つ以上を理由として国籍国の保護がなされない場合、因果関係が成立すると認められます。

この場合、国籍国が申請者に対して保護を与える意思が客観的に示される必要があります。ただし、単に国籍国の保護能力が欠如しているだけでは、迫害理由と保護の欠如との間の因果関係は認められません。

迫害理由のうち1つ以上を理由として迫害を受けるおそれがある場合、他の理由が付随していても、因果関係は成立すると認められます。

⑥国籍国等の外にいること

「国籍国等の外にいること」とは、迫害を受けるおそれがあるために国籍国から逃れた場合が典型的ですが、国籍国を離れた後に情勢変化や申請者自身の事情(政治的意見表明、宗教変更など)によって迫害のおそれが生じた場合も含まれます。

審査時の留意点として、国籍国を出国した後に生じた事情が申請者によって作出された場合、難民の地位を得る目的である可能性があるため、迫害主体がその事情を知ることができるか、そして帰国後に実際に迫害を受けるおそれがあるかを注意深く判断することが重要です。

また、申請者が難民保護を申請する目的で条件を作り出した場合で、その目的が明らかで重大な悪影響がない場合は、一般的に迫害のおそれは認められません。しかし、国籍国への帰国がもたらす結果を慎重に検討し、迫害を受けるおそれがあるかどうか判断する必要があります。

⑦国籍国の保護

「国籍国の保護」に関して、申請者は国籍国から保護を受けられないか、迫害のおそれがあるため保護を望まない必要があります。迫害主体が国家機関の場合、通常、国籍国から保護が受けられません。非国家主体が迫害主体である場合、国籍国が効果的な保護を拒否しているか、提供できない場合に該当します。

無国籍者の場合、常居所を有する国に帰れないか、迫害のおそれがあるため帰りたくない必要があります。通常、無国籍者は常居所を有する国から保護が受けられないとされます。

審査時の留意点として、一般的な行政措置で国籍国から保護を受けられても、迫害のおそれがないとは限りません。非国家主体が迫害主体の場合、国籍国の効果的な保護がないかどうかを判断する際には、法令の整備、法執行能力、保護の持続性や差別性などを検討する必要があります。

複数の国籍を持つ者の場合、どの国籍国からも保護が受けられるかを検討しなければなりません。一つの国籍国で迫害を受けるおそれがあっても、他の国籍国から保護が受けられる可能性があるためです。

難民認定されても取り消される場合

「終止条項」に関して、難民認定を受けた者の難民地位は、難民条約1条Cに該当しない限り維持されます。1条Cでは、難民自身の行動や国籍国の状況変化により、国際的な保護の必要性や正当性がなくなった場合に、難民地位が終止するとされています。立証責任は当局側にあります。

難民認定を受けた者が1条Cのいずれかに該当する事実が判明した場合、入管法第61条の2の7第1項第2号に基づき、手続きを経て難民認定が取り消されます。

1条Cは、難民認定を受けた者に適用されるもので、難民認定申請中の者には適用されません。1条Cに該当する申請者は、難民認定されることはありません。

難民認定は通常、法務大臣が行う処分によってなされますが、難民不認定処分の取消判決も、公権的に難民条約上の難民であることを認定・判断するもので、法務大臣を拘束します。取消判決が確定した者は、1条Cに該当しない限り、難民と認定されます。

難民を除外される場合

①除外条項に関して、難民条約1条D前段の規定により、国連難民高等弁務官(UNHCR)以外の国連機関の保護や援助を現に受けている者は、難民条約の適用が除外され、難民地位が付与されません。現在、1条D前段の適用対象は、国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)による保護や援助を受けているパレスチナ難民のみです。

しかし、1条Dは、UNRWAの保護や援助を受けている者が実質的に1条A(2)の定義に該当することを前提としています。そのため、UNRWAの保護や援助が終了した場合、1条D後段の規定により、1条A(2)に該当するかの認定を経ずに、難民条約上の難民と認められます。ただし、1条C(終止条項)や1条EまたはF(除外条項)に該当しないかどうかの審査は行われます。

1条Dの適用に関する検討は、難民認定手続きを行う際に実施されます。

②除外条項に関して、難民条約1条Eの規定により、難民に該当し得る者でも、居住国の権限ある機関によって、居住国の国民と同等の権利義務が認められている場合、国際的な保護の必要性が欠如するため、難民条約の適用が除外されます。

1条Eは、主に民族ドイツ人を想定して設けられましたが、適用対象はこれに限定されません。1条Eで言及される同等の権利義務とは、居住国の国民が有する法的地位とほぼ同等な法的地位を指し、国籍に由来する権利を除くほぼ全ての権利義務を意味します。特に、居住国外に退去強制されないことが保障されている必要があります。

1条Eの適用に関する検討は、難民認定手続きを行う際に実施され、申請者が1条Eの規定に該当するかどうかの立証責任は当局側にあります。

③除外条項に関して、難民条約1条Fにより、犯罪や行為を行ったと考えられる相当の理由がある者については、難民条約の適用が除外され、難民の地位は付与されません。1条Fの目的は、犯罪や行為を行った者が難民条約に基づく保護制度を濫用して法的責任を回避することを防止することですが、適用される際は慎重であるべきです。

1条F(a)と(c)は、犯罪や行為が行われた時期や場所に関係なく適用されます。一方、1条F(b)は、重大な犯罪が「難民として避難国に入国することが許可される前に避難国の外で」行われた場合にのみ適用されます。この場合、「難民として避難国に入国することが許可される前に」とは、日本に入国する前の時点を意味しています。

難民認定申請の数と許可数

日本には何人難民がいるのか

世界では何千万人もの数の人たちが難民とされていますが、日本では大体15,000人ほどしかいません。

気になる許可率

平成30年には難民に低申請者数は10,493人おり、そのうち42人が難民と認定されています。数字を見るとすぐに分かりますが難民認定申請をして認定されることはほぼないということですね。

難民認定に必要な手続き

必要書類

  • 申請者が難民であることを証明する資料(又は難民であることを主張する陳述書)  1通
  • 写真 2葉 (ただし在留資格未取者については 3葉)
  •  旅券又は在留資格証明書 (旅券又は在留資格証明書が提示できない外国人はその理由を記載した書面1通を提出してください。)
  •  在留カード(在留カードを所持している場合)
  •  仮上陸の許可,乗員上陸の許可,緊急上陸の許可,遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸許可を受けている外国人はその許可書
  •  (注)仮放免中の外国人は,仮放免許可書
  • 難民認定申請書

難民と認定されたら

難民申請の結果、認定を受けることができたら定住者として1~3年ほどの在留資格がもらえます。

難民認定の不許可率が高い理由

申請理由が該当しない

そもそも難民と認定されるのは冒頭でも書いている通り、国家機関のような大きな組織から命を狙われるというよう迫害を受ける恐れがある状況を難民と認定します。迫害を受ける恐れというのは、具体的なことがあってのことで抽象的なものではいけません。

さて、それを前提に申し立ての内容を見てみましょう。約43%の人たちが知人や近隣住民との借金に関する問題という事で難民申請をしているのです。いや、確かに本人からしたら命を狙われているレベルの話かもしれませんが、法律の趣旨とそぐわないので不認定ということになるのです。悪意があるのかないのか分かりませんが、とにかくそんな理由では認定される訳がありません。

何度も申請する人もいる

少し前までは、難民申請をし6か月を経過すると一般に就労を許可されていました。たとえ不許可になったとしても再申請もできるわけですので何回も申請することによりずっと日本に居られるということになります。

しかし、入管もその運用を見直し、条約上の難民に明らかに該当しない申請者は難民認定手続き中であっても日本での在留も就労もできなくなりました。その成果なのか、近年では前年に比べると少しずつ申請者が減っていっているようです。

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