特定技能ビザ「ビルクリーニング分野」とは
ビルクリーニング分野では人材が不足しているために、外国から人材確保するために特定技能ビザ「ビルクリーニング分野」というものが創設されました。 当然、そのためには外国人雇用だけではなく様々なことに取り組んでいるようです。
【生産性向上の取り組み】
- 清掃ロボットの導入促進: JIS規格に適合した清掃ロボットを使用し、作業の効率化を図っています。
- デジタル技術の活用: 機材のコードレス化、小型化、バックオフィスのデジタル化を進め、作業効率を向上させています。
- 支援事業: 厚生労働省が生産性向上や人材確保を支援する事業を通じて、上記取り組みを促進しています。
【国内人材確保の取り組み】
- 高齢者雇用推進: 「ビルメンテナンス業高齢者雇用推進ガイドライン」を策定し、業界全体で高齢者の雇用を促進しています。
- 新規人材の確保: 高校生や大学生、女性、高齢者、障害者への就職勧奨、セミナー開催を通じて、新たな人材を確保しようと努めています。
- 処遇改善: 「ビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドライン」を基に、国や地方公共団体等の発注者に対し、適正な発注を働きかけ、ビルメンテナンス業者の適正な利潤確保に向けて努力しています。
【受入れの必要性】
ビルクリーニング分野では、サービス需要の増加により、令和10年度には約105万2,000人の就業者が必要とされています。しかし、現状では全国的に人材確保が困難で、約9万8,000人の人手不足が見込まれています。この状況に対応するため、特定の専門性・技能を持つ外国人労働者の受け入れが不可欠です。
【受入れ見込数】
今後5年間のビルクリーニング分野での外国人労働者の受け入れ見込数は、最大で3万7,000人と設定されています。これは、段階的な生産性向上や国内人材の追加確保を行った上で、それでも不足する人手を補うための数値です。
これらの取り組みを通じて、ビルクリーニング分野の人手不足問題に対応し、業界の持続可能な発展を目指しています。
特定技能ビザ「ビルクリーニング分野」の取得要件
特定技能ビザの必要要件は、技能試験+日本語試験又は技能実習2号を良好に終了したもの、介護福祉士養成施設終了したもの、EPA介護福祉広報車として在留期間満了したものになります。技能実習2号に関しては、取得した技能が、従事しようとする業務において関連性が認められている必要があります。
技能試験は 「ビルクリーニング分野特定技能評価試験」に合格したものになります。日本語試験は日本語能力試験N4以上又は国際交流基金日本語基礎テストA2以上又は介護日本語評価試験合格の結果が必要になります。
特定技能1号評価試験
技能水準: この試験は、建築物内部の清掃作業を遂行できるレベルを認定します。合格者は即戦力としての知識と経験を有するとみなされます。
評価方法:
- 言語: 日本語
- 実施主体: 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会
- 方法: 実技試験
適正実施保証: 試験は、必要な設備を持ち、替え玉受験等の不正を防止する措置を講じることができる機関によって実施されます。
特定技能2号評価試験
技能水準: この試験または技能検定1級の合格者は、建築物内部の清掃を行い、複数の作業員を指導しながら現場を管理する実務経験2年以上を要します。
評価方法:
- 言語: 日本語
- 実施主体: 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会
- 方法: 学科試験及び実技試験
適正実施保証: 同上。
国内試験対象者
国内での試験実施は、在留資格を有する者に限られます。
日本語能力水準及び評価方法
基本日本語能力: 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)に合格した者は、業務に必要な基本的な日本語能力を有すると認められます。
評価方法:
- 方法: コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)またはマークシート方式
- 実施主体: 独立行政法人国際交流基金及び日本国際教育支援協会
適正実施保証: 試験は、必要な設備を備え、不正受験を防止する措置を講じることができる機関によって実施されます。
技能実習2号の修了者の評価
- ビルクリーニング関連の技能実習良好修了者:
- この実習を通じて得られた技能は、ビルクリーニング業務で要求される技能と深く関連しています。特に、清掃作業において、場所や部位、使用する建材や汚れの種類に応じて、適切な清掃方法、洗剤、用具の選択ができることが評価されます。
- これらの技能はビルクリーニング分野で即戦力となる専門性と技能を示しており、関連する試験の免除が認められます。
- 一般的な技能実習2号の良好修了者:
- 技能実習を良好に修了し、約3年間の日本での生活経験がある者は、日常会話が可能な程度の日本語能力を有すると評価されます。
- これにより、日本語能力に関する試験も免除されます。
技能試験の内容
ビルクリーニング分野における初級の技能者が通常有すべき技能を有することを確認する観点から、試験の水準は、ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習修了相当の水準(注)とする。
(注)場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、作業手順に基づき、自らの判断により、方法、洗剤および用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベル。
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領
勤務先の主な要件
・協議会への加入
特定技能ビザの外国人を雇用する企業は、それぞれの分野ごとに設置された協議会へ加入する必要があります。
協議会加入のタイミングは特定技能ビザの外国人を雇用した日から4ヶ月以内に加入することが義務となってます。
なお、協議会へ加入することで発生する費用はありません。
・日本人と同等程度の報酬
職場で同じ作業に従事している日本人と同等以上の報酬を支払わなければなりません。
雇用後も日本人の給与明細などを提出する必要がありますので、安く雇用することはできません。
・外国人受入れに支障のない経営状態
特定技能ビザの外国人を雇用するためには,受入れ企業がある程度良好な経営状況であることが求められます。
この要件は就労系ビザを取る場合にはどれにもついてまわります。会社が倒産してしまっては外国人の立場がなくなるので当然ですね。
・法令遵守
過去5年以内に出入国、労働、社会保険及び租税に関する法令についての違反がある場合は特定技能ビザの外国人受入れをすることができません。
・1年以内の離職者・行方不明者なし
行方不明者等を発生させた場合は、特定技能ビザの外国人受入れをすることができません。
※会社に帰責性のない行方不明は該当しません。
・特定技能ビザの外国人を支援することができる体制
中長期のビザをもつ外国人の受入れ、または管理を適正に行った実績があり、特定技能ビザの外国人が十分理解できる言語での支援体制があることが求められています。
自社で出来ない場合は登録支援機関へ委託することもできます。
従事できる業務内容
ビルクリーニング分野で働く特定技能外国人が担当する業務は、大きく分けて以下のように定義されます。これらの業務に加えて、日本人が通常行う関連する業務にも補助的に参加することが許可されています。
1号特定技能外国人が担当する業務
具体的な職務内容ですが、建築物内部の清掃業務全般(床・天井・内壁・トイレ・洗面所等)に従事することが認められています。 また、資機材倉庫の整備作業、建物外部洗浄作業(外壁,屋上等。ただし高所作業を伴う窓ガラス外壁清掃作業は除く)、客室整備作業(ベッドメイク含む)、建築物内外の植裁管理作業(灌水作業等)、資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等)などの関連業務をすることも認められています。ただし、関連業務を主業務にすることはできません。
2号特定技能外国人が担当する業務
2号特定技能外国人は、特定の試験と実務経験に基づいて確認された技能を用いて、同じく住宅を除く多くの人が利用する建築物内部の清掃を担当します。この役割では、1号特定技能外国人が行う業務に加え、複数の清掃作業員を指導しながら、現場の管理、清掃作業の計画立案、進行管理、その他の管理業務を行います。目的は、建物の衛生、美観、安全性、保全の向上を通じて、環境上の汚染物質を排除し、建物の清潔さを維持することです。
特定技能ビザ「ビルクリーニング分野」申請に必要な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(新規の場合)
- 在留資格変更許可申請書(変更の場合)
- 特定技能所属機関の概要書
- 登記事項証明書(法人) / 住民票の写し(個人)
- 役員の住民票の写し(法人の場合)
- 決算文章(損益計算書及び貸借対照表)の写し
- 労働保険に関する資料
- 社会保険に関する資料
- 納税に関する資料
- 特定技能雇用契約書及び雇用条件書の写し
- 特定技能雇用契約書に関する重要事項説明書
- 特定技能外国人のの報酬額が日本人の報酬と同等以上であることの説明文書
- 入国前に仲介業者等に支払った費用等を証明する文書
- 技能試験に係る合格証明書/技能検定の実技試験合格証明書等
- 日本語能力試験に係る合格証明書/技能検定の実技試験合格証明書等
- 特定技能外国人の健康診断書
- 支援計画書
- 支援委託契約書(登録支援機関に委託する場合)
- 支援担当者の履歴書、就任承諾書、支援業務に係る誓約書の写し
申請する際の注意点
上記はあくまでも最低限の提出書類になりますので、状況に応じて必要な書類を添付していきましょう。また、課税証明書などの日本で発行される証明書は、発行日から3ヶ月以内のものでなくてはなりません。提出書類の中に外国語のものは訳文を添付する必要があります。
ただし、英語の場合は訳文を添付する必要はありません。
また、試験に受かったからといって必ず取得できる在留資格ではありません。不許可になる可能性もあるので専門家に相談しましょう。
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